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三日間、フジロックに行って参りました。礼儀としてきちんとした感想を書こうかと思います。
人生初参戦だったんですが、子連れの皆さんが多くて度肝抜かされました。キッズの遊び場もあったけどそりゃステージにも行くんだろうし、余計なお世話ですけど炎天下の苗場は子供にはシンドいと思いますよ。キャンプならまだしもさ。
今年の上半期に実に印象に残った『JIM』を引っさげて貫禄のライブ。最初3曲で堂々のフェイクソウルをかましてくれてニヤけていたら、バックバンドの演奏をラップトップに取り込みはじめて一人ハウス大会まで披露。こんなことできる人はそうそういないわけでさすがだと思ってましたが、打ち込みのライブは基本あんまし好きでなく、気持ちよかったけど10分くらい続いた辺りで次のために移動。
Jamie Lidell - Multiply
移動中に耳に入ってきた曲がエレファントカシマシみたいで、そういう人なんだって思いました。
くるり本体には全然興味がないので否定的なことばかり書いてしまいますが、岸田さんは自分のレーベルでWillie WiselyやJason Falknerといったポップ職人を取り上げたり、Dismemberment Planと交流があったりとただの自己満足ではない素晴らしい音楽をたくさん紹介しているし、ボクの百倍くらい音楽聞いてる人だと思うので大変尊敬してますよ。だから自分の音にもうまくそれを反映させてください。
SPOON
昨年リリースされて各所で絶賛された『Ga Ga Ga Ga Ga』はボクも大好きで去年何度も繰り返し聴いていたので、楽しみにしてたら音源そのままの実に地味なライブで逆に驚かされました。
SPOONは最小限の音数でタイトでソウルフルともいえるグルーヴを生み出す演奏が特徴なんですが、それをやっとポップに楽しめるようになったのが先に挙げたアルバムからで、爆発的に人気が出たのもよくわかります。そんなサウンドなんだからさぞかしバンドアレンジの妙が楽しめるんだろうなって期待してたら完全再現で拍子抜けでした。『Ga Ga Ga Ga Ga』以前のアルバムからの曲はそもそもの楽曲がつまんないから論外。
Spoon - My little japanese cigarette case
イギリスかどっかの女の子。通りすがりに最後の曲だけ聴いたんですが、楽しそうで耳に残りました。今度聴いてみます。
JASON FALKNER
後半だけ。ジェリーフィッシュのロック部分を担当してた人。骨太のパワーポップが気持ちいいです。ロジャーマニングのソロは大好きでよく聴いてるんですがこっちは未チェックだったのできちんと追ってみます。誓うよ岸田。
EGO-WRAPPIN'
高校生のとき、インディーズチャートに『色彩のブルース』で出始めた頃から知ってるんですが追ってるはずもなく、すっかり大物になった彼女らのステージは、ミュージックマガジン辺りが喜びそうな工夫に満ちた安定感でタップリでした。まぁつまんないです。
ボーカルの中納良恵さんはボクも大好きなブラジルの'70s特殊サンババンド、Novos Baianos『Acabou Chorare』を絶賛していたりと勉強熱心な音楽好きなんだろうし、二曲目だったかのカーティス・メイフィールド〜トーキングヘッズばりのギターカッティングからもそれを窺い知れるんですが、クラムボン然り、頭のよさは音楽の面白さにはなかなか反映しがたいものなのかもしれません。離れてったら遠くから「くちばしにチェリー」が流れててました。
- アーティスト: オス・ノヴォス・バイアノス
- 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
- 発売日: 2006/10/29
- メディア: CD
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SUNSHINE LOVE STEEL ORCHESTRA
小さいステージに三人座ってみんなでスティールパン叩いてました。疲れてたので割と沁みました。座って休憩。
人力ポストロックの代表格…なのかな。多人数編成による幻想的でダイナミックな演奏にロリ声が被さる、みたいな。例えにだすのはブロークンソーシャルシーンでもムームでもなんでもいいんですが、昨今のインディーバンドの大半が演出しようとしている多幸感にはいい加減飽きてきました。
10数年前のスウェディッシュポップの流れと一緒の「クオリティーが高いだけ」な流れにここら辺の人たちも突入してきたように思います。
GALACTIC featuring Chali 2na (of Jurassic 5) and Boots Riley (of The Coup)
抜群にノリのいいジャム・サウンドにChali 2naのラップが大暴れ。ヒップホップに疎いボクでもジュラシック5は大好きなので(ロックファンによくあるパターン)実に楽しかったです。脇のほうで普通に踊ってたりしてました。
最後は「stairway to heaven」カバーとかやったらしいですね。それを観てたら偏屈な性格なので不機嫌になっていたことでしょう。先に抜けてよかったです。
最後のほうだけ。楽しそうでした。こういうの聴いて盛り上がってれば違ったキャンパスライフが送れたのかもしれない。ロッキンオンにも入社できたのかもしれない。罪作りな人たち!!!
世間的にも個人的にもこの日の目玉。演奏しなくても出るだけで騒ぎになるなんて、なんもしてないのに17年間のあいだ散々評価してくれた音楽評論家の皆さんにお礼参りしてきたほうがいいと思います。
「Loveless」からの曲は明らかにステージ上の演奏以外の音が被さった完全再現モード。日本一優れた環境で甘美な大轟音を聴ける贅沢。
「Isn't Anything」の曲はBPMをあげて音源の5割増はカッコよくなっていました。あのアルバムって単純なリフを繰り返すだけの曲ばかりだけどこうして聴くと腰砕けするほどスゲー曲ばかりで、ハードコアバンドとしてのマイブラはまだまだ過小評価ぎみなのかも。個人的にはコッチが最高。
ラス曲の「You Made Me Realise」の曲間に披露した(たぶん)20分くらいのノイズ祭りが一番楽しかったです。普通のバンドならグリーンステージだし3分くらいで切り上げてカッコつけるだろうところを、延々やり続ける辺りの空気の読めなさが彼ららしいというか。4万人の客はあれを見てどう思ったのか。
まぁ、今回のライブを観て素直に素晴らしいと思ったので、今後はバンド名義の余計な新作は一切出さず、たまに懐メロツアーをすればいいと思います。ケヴィン・シールズはたまにソロで「City Girl」みたいな曲を作ってくれればいいんじゃないかな。市民ケーンを作ったオーソン・ウェルズみたいなもんですよ。
ロンドンでのノイズ大会の様子。まったく日本でもこんなかんじでした。
MY BLOODY VALENTINE-You Made Me Realise
安っぽさが割とカッコいいプロモ。