超唐突に2010年上半期の個人的ベストアルバムTOP20を大発表。






20.Holy Fuck/Latin

基本的にポストロックとかいうジャンルに属する連中はほとんど全て大嫌いなのだが、彼らにとって三枚目となるこのアルバムでは徹底したわかりやすい恰好よさのみが追及され、
中学二年生が考えたようなバンド名と同じくらいにバカな勢い・疾走感が全編にて徹底されている。
演奏やプロダクションは巧みだが、そのシンプルな潔さに感服。









19.Hannah Georgas/This Is Good


カナダはヴァンクーヴァーのSWW。キュートなジャケにつられて聴いてみたら小気味よいパワーポップ。生まれて初めて曲を書いたのは6歳のときらしい。凄いね。
既にカナダでは結構な話題の人らしく、また彼女のmyspaceを見ると結構なメンツの名が挙がっていて、芳醇な音楽性にも頷くばかり。











18.Solvent/Subject To Shift


とても大好きなエレクトロニカの人の新譜。前作「Apples & Synthesizers」はタイトル通りに突き抜けた00年代エレポップの隠れ名作だが(ジャケ&タイトル最高)、
今作はややシリアスな方向に傾きつつも、相変わらずのシルクのように柔らかなシンセのレイヤー・サウンドを聴かせてくれる。大好き。
このPV、めっちゃキモカワイイな!











17.The Bird And The Bee/Interpreting The Masters Volume 1: A Tribute To Daryl Hall And John Oates



実は現時点での最高傑作なのでは? と思いたくなるくらい、彼女たちとホール&オーツの相性はバッチシなのであった。
にしても、グレッグ・カースティンは仕事しすぎ。
DEVOの新譜も完全に彼の独壇場だったし(そして素晴らしい完成度)









16.Dinosaur Feathers/Fantasy Memorial


とにかく下の動画の曲を聴いてくれってことで。
詳しくはコチラ











15.Moy/The Lie


XTCに似ている!」とかの流れで00年代の前半にちょっと話題になった元Dogs Die In Hot Carsのフロントマン、Craig Macintoshによるソロ・プロジェクト
正にDDIHCのアコースティック・ヴァージョン。いかにも英国然としたスタイルはニック・ドレイクなども彷彿とさせるが、彼一流のひねくれ気味なソング・ライティングは全く枯れてない。泣ける…
ところで、DDIHCの2ndはこのままお蔵入りになってしまうのだろうか。デモ音源だけ既に出回っている彼らの2nd『Pop Nonsense』はデモの時点で驚くほどの傑作。
なんとか形になってほしい。











14.Saori@destiny/WORLD WILD 2010


バイレファンキに影響を受けたというアキバ系アイドルの新作。
全トラックとてつもなく完成度が高いのだが、たぶん誰が歌っても最高にカッコよく、誰を褒めればいいのかわからない困ったアルバム。
これをライブでやられてどういう表情をすればいいのかわからないが、とにかくあまりにも過剰なハイエナジーっぷりに失禁必至。









13.The New Pornographers/Together


何年間も自室に同じポスターを飾っているほど大好きなバンドだが、今回はどうもあんまりノれず。
とりあえず、このバンドは「アルバムで一番いい曲を書いてるのがダンさん(destoroyer)」状態じゃダメなんだよ!
がんばれカール! 2ndソロ辺りから不調長いよ!
とはいえ、聴きどころは多し。ニーコが歌うとそれだけでアリかなって思っちゃうよね。











12.The Chap/Well Done Europe


Divine Comedyの新譜とは真逆の方向で英国ポップの極北を感じさせた(アチラは紅茶の香り、コチラは腐臭)The Chap新譜。
ピッチフォークで高得点稼いだのに売れなかったから方針転換したという本当かウソかよくわからない理由で、
本作は過去最大級に歌ものポップとしての魅力に溢れながら、
歌詞における生産性やマトモな意味での感情移入度はゼロというかマイナス以下という最低のアルバムに仕上がった
(足を引っ張るか人生における無駄みたいなことしか歌ってない)。
爆風がクマ!!!というジャケだけで個人的なシンパシーも。









11.The Drums/The Drums


クッキーシーン絡みで色々と接しているウチに愛着が湧いてしまった。
アルバム全体の完成度は実はそんなに高くないけど、やっぱり青臭さに惹かれるわけです。
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10.David Byrne & Fatboy Slim/Here Lies Love


バーンが目論んだクラブユース的な踊れる要素は正直希薄な気がするけど、
彼の書いた曲を別々の女の子に歌わせるとこんなに聴き飽きないアルバムが出来るのかと変な意味で驚かされたり。
『Grown Backwards』の高みには辿りつけなかったものの、こちらもやはり傑作。
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9.Robyn/Body Talk Pt. 1


独立独歩な姿勢が前作以上に打ち出されまくっていることだけで二重丸。お願いだから誰か日本に呼んでくれ。
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8.Crystal Castles/Crystal Castles


トゥーマッチなほどメロディアスな曲と暴力的なアイディア一発勝負すぎる曲が乱雑に詰め込まれている彼女らのスタンスは健在。そこだけで号泣。
かつて一世を風靡した(勝手に殺したらマズイのかな…)エレクトロのシーンはこのユニットを生み、世に放つことだけのために存在したのではなかろうか。









7.MGMT/Congratulations


冒頭4曲は上半期で一番繰り返し聴いた。後半の12分の曲とかラストのハンド・クラップは正直やりすぎかなー、とかとか。
しかしトータルでいえば、本作は紛れもない傑作。
今後の音楽シーンのスタンダードとなるであろう(しかも自分にとってかなり都合も風通しもいい)気分をアピールしただけでも存分に価値がある。
「Song For Dan Treacy」名曲すぎ。80年代ギタポをなぞったってよく言われるけど、当時のどこを探してもこんなに捻じれた曲はなかったわけでさ。









6.Buono!/We are Buono!


劇的すぎるパワーポップの雨嵐、超名盤な前作からの次の一手として、楽曲の幅をもたせた一枚。
つんく作曲のシングル曲はややヘナチョコながら(Take it Easyとか言ってらんねえだろ)、
巧みの業を魅せる筒美京平作品から重戦車のようなギターロック(「Independent Girl〜独立女子であるために〜」)、
そして"優柔不断のままでいいよ"という胸に突き刺さりすぎるフレーズが印象的な「うらはら」と、聴けば聴くほど味が出る楽曲多数。









5.小島麻由美/ブルーロンド



前作『スウィンギン・キャラバン』で正直感じてしまったマンネリな空気をドラマーが変わったことで完全に打破。
(インディーに移ったことも影響しているのかもしれない)くぐもった録音も混みで彼女のいなたい一面性を打ち出しまくった本作は、
個人的には『さよならセシル』以来の傑作となった。
別にスウィンギンしているから彼女が好きだったわけじゃなくて、なんて言うんだろう。
恋の歌でも自分の脳内にしか存在しない関係というか世界? 妄想? そんなところに強く惹かれてしまうわけで。


(これだけYoutubeでは見つからず…)




4.She & Him/Volume Two


こんなこと書くと怒られるかもしれないけど、本作の主役はよりバンド・サウンドにシフトさせながら
ズーイーの魅力を全く削がないアレンジを施したM・ウォードだよなぁ、とかとか。
一曲目の力強いイントロから感動的。リズムが立っている分、断然前作より好き。








3.Hot Chip/One Life Stand


アルバム全体だけでいえば文句なしの彼らの最高傑作。
チャールズ・ヘイワードのドラムが聴けるというだけで垂涎モノなのに、ここまで楽曲の粒が揃っちゃったら、もう。
そしてライブも強烈なようだが、今年のフジのタイムテーブルを組んだ人は本当に罪つくりだねって思うわけです。どうしよ。









2.住所不定無職/ベイビー!キミのビートルズはボク!!!


下北沢や高円寺に掃いて捨てるほどいそうなビートルズ/ビート・ポップの趣味的なフォロワーとは数万光年違う位相に存在する、完全異質なポップ・バンド。
変な方向に突き抜けた歌詞("クララが立ったよ!")やアニソンもかくやなテンションを誇る一人シャッグス状態な女の子ヴォーカルに慄く一方で、
ときたま見せる抒情性(「あの娘のaiko」)にしんみりさせられたり、とにかく捉えどころのない…
と思えば、(引用含め)60〜70年代ロックのマナーに則った作曲技術は真っ当に優れていて、どこから評価すればいいかわからないという。
聴けば聴くほど好きになった。しばらく追いかけたい。








1.Ariel Pink's Haunted Graffiti/Before Today


大半のインディー・バンドが似たような(割とどうでもいい)多少暗めのハッピーエンドと音楽的カタルシスの獲得を目指しているなかで、
アリエル・ピンクは全く違う角度による視点から(だけど今までどおりの方法論を基本踏襲したまま)ナード的にも感情移入しまくれる音楽を提示してくれたことに何より感謝。
スタジオ録音によって彼の捻じれまくったAOR趣味とポップ・センスがわかりやすく受け止められるようになったことも嬉しい。
個人的には「Round and Round」は10cc「Don't Hung Up」の2010年アップグレード版として胸に迫った。
電話を「切られること」ではなく「かけること」への不安と渇望。
"Sentimental heartbreaking Evereything is my fault"のくだりとかね。好きすぎ。