kitiku32008-05-05

ウリチパン郡のレコ発@EATS and MEETS Cayに行ってきました。またも殴り書きスタイル。覚えとけ!

トクマルシューゴ&ザ・マジックバンド

実ははじめて見た。CDで繰り返し聴いた音も生演奏だとこうなっちゃうのねーと感動。ステキ。多人数編成で見た目もリッチ。ときめき世界。アルペジオ弾くのうめー。
と書きつつ、密室空間(レコーディングされた状態)でこそ映える楽曲なのかも、とも少し思いました。わかんない。そういうのって当日のテンションの問題なんだろうけど。
ヘッドボンで聴くときは痛いほど伝わってくる強烈な感情が、ライブだとステージ上でほとんど蒸発しちゃって客席まで殆ど届いてないような感じも受けました。いや、これは贅沢な感想すぎるか。
wikiにあるような綱渡りMCもよかった。また見たい。


SIGHBOAT内田也哉子(vo)、渡邊琢磨(key)、鈴木正人(bass)、千住宗臣(ds)>

まんまCombo Pianoっぽい、しっとりクラブジャズな楽曲。好きか嫌いかで言えば好きだけど、やっぱ日本語英語が全編続くと聴いてて気恥ずかしくなってしまう。それ除いても、歌ってる女の人だけあまり好みではないです。歌い手としての魅力がどこにあったんだろうって、それくらいのレベルで。スイマセン。
しかし、一方で引き締まった演奏は魅力的。達人の書く一筆書きみたいな、余裕たっぷりの音の絡みにクラクラ。千住宗臣さんが売れっ子な理由はこの日のライブで非常によくわかりました。タイト!


・IKEBANA (Maki, MoOog, Dj Codomo)

ギター3本でアンビエント。つ、つまんない…。会場がシラけていくのがわかるのが辛い。山本ムーグとDj Codomoならもっといくらでも興味を惹くような何かができるはずでしょう。
最後の轟音も予定調和だしさー。それでこのユニット名。転換中のDJのほうがよっぽど面白い。こういうのはもういいよ。(前日のに書いた)センサー服で音楽やってる人を見習え!


・ウリチパン郡 +くも (from 三田村管打団?)

豪華9人編成。どこから書けばいいのやらってくらい良かったです。
今回のライブの魅力はそのまま彼らの新譜である「ジャイアント・クラブ」の魅力に繋がるわけで、芳醇なメロディーラインと手堅いリズム(先述の千住宗臣さん)さえあれば、どんなアレンジで演奏しようと、機材トラブルが起きようと、照れ屋さんなMCを披露されようと、まるで問題じゃないし、 どうしようもなく泣けてしまう。

それにしても、「ジャイアント・クラブ」は素晴らしいアルバムだなぁ。幾重にも重なる虹色なシンセやヴォコーダー越しのコーラスにまずは耳を惹かれるわけだけど(ライブでも女の子組が2×2台のシンセ)、たぶんこの音を全部取っ払ってアコギ一本で演奏しても十二分にグッとくる機知に富んだメロディー(“パヤパヤ"のサビや“カルマブルース”での無軌道な歌メロを例に出すまでもなく)手の込んだ楽曲が全編で展開されているんだから涙モン。
坂本龍一が「すごく時間をかけて、ていねいにつくってあるね」と評していたけど、本当にその通り。それでいて、(最近の日本のインディーバンドの多くが陥りがちな)USインディー勢の二次創作ではなく、浪花節とか童歌とか童謡とかJ-POPとか、日本に根付いたメロディセンスで、尚且つそれが全くイヤミに感じられないってのは素晴らしすぎる。まずは作曲能力を、歌モノアルバムとして評価されるべきでしょう。世界レベルでも今作は、オリジナリティーという観点で屈指の出来栄えじゃないかな。

で、ライブではそんな楽曲を三田村管打団?の人たちとみんなで遊び尽くしちゃうんだから悪いはずがない。できれば毎回9人編成でやってほしい(管楽器だけでなくても、後ろで手拍子だったりコーラスだったりリコーダー吹いたりする仕草がチャーミングなんだもの!コワモテと美女が共存する光景って最高にいいよね!)
工夫されつつも音を詰め込みすぎてないアルバムなので遊ぶ余地は存分にあって、ライブでのアレンジがこれまた最高すぎる。特に静謐な曲(“奪うは陰 分けるは陽”とか)こそライブでは聴かれるべき。3倍増くらいで泣けちゃう。アンコールではクラムボン原田郁子も登場。最後まで大盤振る舞いでした。

ジャイアント・クラブ

ジャイアント・クラブ

↑みんなで買おう。

ひとつ気になったのは(彼らのライブの出来とは直接関係ないんですが)途中で最前列に、明らかにその日の客層とは異質の泥酔しきったお姉さん方が乱入してきたことで、明らかに会場のなかでスッポリとそこにだけ、二人ぶんの穴というか歪みが生じてしまっていたことです。
彼女たちを非難しようとする気なんてサラサラなくて、むしろ、なんでそこに穴が生じるのかが不思議でならなかったんですが、興奮すれば嬌声も発するのも合いの手を打つのも普通だし、そうやって普通に自分のスタイルで楽しんでる人に対して他の観客が「おのれ、KYめ」みたいな視線を向けてらっしゃるのがよくわからないというか。肩とか首を軽くゆするか小さく横揺れに楽しむ以外は禁止ってルールでもあったんでしょうか。
こういう光景を目の当たりにすると、結局日本でインディーロック(この場合の語義は経営手段とかでなくて、iTunesでインポートしたときジャンルが「indie」と区分けされるような音楽)を楽しんでる人の大半は、閉鎖的な世界に閉じこもって特権階級ヅラして、スノッブな会話や狭い業界談義に華を咲かすようなお利口ちゃんしかいないのかなー、なんてイヤンなことも考えてしまいます。ライブが素晴らしかったし、もっと開かれて聴くべきだと思うのでなおさらねー。